国連の報告書によるモルディブの人間開発躍進

国連の新たな報告書によれば、モルディブの人々のウェルビーイングと開発はこの20年間で大きく飛躍した。
モルディブは、ある国の健康と、教育、そして生活における進歩をもとに計算される人間開発指数(HDI)で大きく順位を上げた。
国際連合開発計画(UNDP)は、32年に渡って人間開発指数を計算してきた。最新の報告書では、10ヶ国のうち9ヶ国が以前よりも悪化している一方で、モルディブが2021年は191の国と地域で90位になり、2020年の報告書における97位から躍進したことが示されている。
2021年のモルディブのHDIの値は、人間開発カテゴリーで高い水準に属することを意味する0.747に達した。1995年以来、モルディブのHDIの値は、0.582から0.747へおよそ3割増加した。
2021年におけるモルディブのHDI値の増加は、出生時の平均寿命が78.9歳から79.9歳へ伸びたこと、期待修学年数が12.2年から12.6年に延びたこと、そして平均修学年数が7年から7.3年に延びたことといった、HDIにおける重要な測定指標が改善した結果である。
一人あたりの国民総所得(GNI)は、COVID-19のパンデミックによる景気後退の影響を受けて1万7千417米ドルから1万5千448へ減少した。また、2021年のモルディブにおける女性のHDI値は、男性の0.766に対して僅か0.709であったため、この男女格差を埋める取り組みも依然として必要である。
世界的には、状況はそれほど芳しくない。HDIは史上初めて世界全体で低下し、それも2年連続でである。このことは、人間開発が2016年の水準に戻り、国連の持続可能な開発目標に向けた進展の多くが後退したことを意味している。
90%の国々が2020年または2021年にHDI値が低下しており、40%が2年連続で低下していることから、この後退はほぼ普遍的な現象である。
UNDPは、この現象がより広範な危機の症状であり、COVID-19のパンデミックの混乱および荒廃とウクライナにおける戦争だけでなく、幅広い社会経済的な変化や、危険な気候変動、そして大きな二極化の増大によっても悪化していると述べている。
UNDPのアチムス テイナ氏は「COVID-19が広まる前ですら、進歩と不安定性そして進歩と二極化という2つの矛盾が見られていた。現在、世界人口の3分の1がストレスを感じ、他人を信頼できている割合が3分の1未満であり、人々と地球のためになる政策を採用する上で大きな障害に直面している。
この啓発的な新たな分析の目的は、この行き詰まりを打破し、現在の世界的な不確実性から抜け出す新たな道筋を描く手助けをすることだ。現在のシステムを再起動し、断固たる気候変動対策と万人にとっての新たな機会に基づいて未来を確保するには、僅かな時間しか残されていない」と述べている。
立ち直り始めている国々もあるが、回復の程度は不均一かつ部分的であるため、人間開発における不均衡は更に拡大している。ラテンアメリカと、カリブ、サハラ以南、そして南アジアは、特に大きな影響を受けている。2022年の報告書において最もHDIが高い国々には、スイスと、オーストリア、香港、ドイツ、そしてアイルランドが含まれている。
HDIは、ある国の発展を評価する究極の基準が、単に経済成長のみではなく人々とその能力であるべきだということを強調するために作られた。