楽園の保護:海抜の低いモルディブの海面上昇対策

モルディブは、数百万年前の有史以前の火山活動によって形成された時代から、活気あるコミュニティと豪華なリゾート地が繁栄する現在まで、長く誇るべき歴史を持っている。
2019年には170万人の観光客がモルディブを訪れたが、2020年はCOVID-19がもたらした世界的な渡航制限によって観光客は555,339人に減少した。2021年にはモルディブの観光産業が復興し、多くの観光客が白い砂浜と、ターコイズ色のラグーン、そして映画のキャストアウェイのような体験を求めて戻って来る事が望まれる。
だが、地球温暖化の影響が増す現在、自分だけの楽園を夢見ている人々は手遅れになる前にすぐにモルディブを訪れる事を検討すべきかもしれない。
インド洋上に浮かぶ二本の鎖のような数百の手付かずのサンゴ島からなるモルディブのユニークな地理こそが、この島国を楽園のような観光地にしている要因だが、これは環境の変化に対する脆弱性の要因でもある。
モルディブの島々は海抜が1メートルほどしかない世界でも最も低い地域に属しており、気候変動によって海面が上昇するにつれて島々が完全に消滅するリスクが現実のものとなっている。多くの科学者たちは、地球温暖化がこのまま続けば今後数十年の間にモルディブが海に沈む可能性があると考えている。
では、モルディブのユニークで壮大ながらも脆弱で小さな多くの島々が以下にして形成されたのだろうか?
モルディブが形成された過程...
それを理解するには、地殻変動によって巨大な陸塊が分かれ、現在のような大陸の配置になった数百万年前まで時を遡る必要がある。
当時、現在モルディブがある地域は火山帯だったとされている。こういった火山帯が消滅し海中に沈むと、その周辺にサンゴ礁が成長し、ラグーンを囲む裾礁が形成された。こういったサンゴ礁によって浅瀬の岩礁に集まった物質が侵食されて砂州となり、数百万年をかけて最終的に島々になったと考えられている。
その結果、9万平方キロメートルの面積に広がる数百の島々が形成された。こういった島々は海底から隆起した960キロメートルに及ぶ海嶺の先端に位置している。そうしてモルディブの地形は形成されたと考えられている。
モルディブに対する気候変動の影響への対策...
こういったユニークな地理的歴史によってモルディブの未来は不確かなものとなっている。気候変動はモルディブ自体の存在を脅かしているので、その自然環境を保護し、先々に待ち構えている事に対する準備に関して正に急を要する事態となっている。
モルディブ政府は海面上昇から島々とその住民を保護するために数多くの対策を計画している。こういった計画には、地下水の保全に伴う雨水の利用の推進と、海岸侵食対策、ならびに大半が海岸沿いに位置する重要インフラ施設の嵩上げ工事が含まれる。
最も外延部で脆弱な島々の住民たちは、より対策が進んでいる島々に移住を完了している。首都マーレの周囲に防潮堤を建設する事は可能だが、どんな対策にも資金が必要である。モルディブ政府は、気候変動対策のための主な資金源である観光産業へのサポートと投資を約束しているが、同時に諸外国からの資金援助も求めている。
また、生物多様性も最優先課題であり、モルディブ政府は湿地およびマングローブを保護するための様々な自然保護区と、サンゴ礁を保護するための生物圏を指定している-これらは全て洪水被害を防止するために重要な地域でもある。
モルディブの気候変動に関する活動...
未来に対する準備と同じくらい重要な事は、現在起こっている事に関する教育と、気候変動の原因に対処するための実際の行動である。
モルディブはプラスチックごみに対する対策を講じており、2025年までには使い捨てプラスチックの使用とビニール袋の輸入が禁止となる。使い捨てプラスチックはモルディブの各学校では既に使用が禁止されている。
モルディブで広く実施されているリサイクルプログラムは無いが、この数年の間に国営のヴェースト マネージメント コーポレーション(WAMCO)が海のプラスチック汚染を減らす事に特化した環境団体であるパーレー フォーザ オーシャンズと提携して首都マーレにプラスチックをリサイクルするための革新的な研究所を建設している。
モルディブでは、幅広いボランティアやコミュニティ教育プログラムを通じて、ウミガメ保護のための砂浜清掃や、観光客および住民の環境に対する意識向上キャンペーンなどが実施されている。海と砂浜からプラスチックごみを除去するために学童と漁師たちが動員され、観光客も海洋生物とサンゴ礁を保護するための幅広い活動に参加できるようになっている。
また、モルディブの豪華リゾート地もエコツーリズムに力を入れ、持続可能性にフォーカスする事によってグリーンな方針を採用している。
とりわけ革新的でエキサイティングなプロジェクトとして、Resilient Island groupが主導するMaldives Matter Projectが実施されており、このプロジェクトでは熱帯の低地気候で世界初の自給自足型温室を開発する事に取り組んでいる。モルディブは食料の約95%を輸入に頼っているので、Maldives Matter Projectでは二酸化炭素の排出削減だけでなく国内での食糧生産増加も目標としている。
手遅れになる前にモルディブへ!
長年モルディブを訪れる事を夢見てきたのなら、すぐにでも訪れた方がいいかもしれない。この素晴らしい島国の未来がどうなるかは誰にも分からないが、透き通る波と、サンゴ礁、白い砂浜、そしてこれ以上ない豪華なリゾート島が今も観光客を待っている!