気候変動枠組条約締約国会議における妥協合意にモルディブが不満

COP26に参加したモルディブの代表者たちはその妥協合意に不満を示している。イギリスのグラスゴーで開催された気候変動枠組条約締約国会議では、各国の代表者たちが重要な問題で合意に至ることができなかった。
モルディブなどの国々は既に、来年エジプトで開催される次の会議に、気候変動に対して国際社会がより抜本的な対策を講じる期待をかけている。
各国の代表者たちは、2015年のパリ協定の一部だった世界全体の気温上昇を1.5℃未満に抑えるというコミットメントに関して合意に至ることができなかった。
国際社会の普遍的なサポートなくしては1.5℃という許容範囲を超えてしまう恐れがあり、これはモルディブなどの海抜が低い国々にとっては重大な危機である。
モルディブの代表者たちは、世界の指導者たちに対して、気候変動に取り組まなければモルディブなどの国々に重大な影響を及ぶと警告した。
モルディブの代表者たちは、世界的な気温上昇を止め、海抜が低い国々を守るために必要なコミットメントについて声高に発信をしてきた。
モルディブの大統領であるイブラヒム・モハメド・ソーリフは、同会議において、世界的な気温上昇を止めるための対策が講じられなければ、今世紀の終わりにはモルディブが消滅するだろうと述べた。
ソーリフ大統領は各国の代表者たちに「私たちの声に耳を傾けてもらうには何が必要ですか?」と問いかけた。
モルディブ政府は、世界的な気温上昇によって海面が上昇し、モルディブを形成する島々の存在が脅かされると信じている。
ソーリフ大統領は、グラスゴーでの会議において、1ヶ月の間に訪問した6つの島々のすべてが「深刻な侵食」の影響を受けていると述べた。
モルディブの環境相であるアーミナト・シャウナは、この妥協合意に対して「緊急性と必要な規模と一致していない」と述べ、「1.5℃と2℃の違いは私たちにとって死刑宣告のようなものです」と付け加えた。
また、前大統領で現モルディブ議会議長であるモハメド・ナシードも、スコットランドのサミットで熱烈な演説をした。
同氏は世界の指導者たちが世界的な気温上昇を1.5℃未満に抑えるためのコミットメントを維持する重要性を強調した。
ナシードは、グラスゴーでの会議と時を同じくして、エジンバラのスコットランド議会で演説をした。
同氏は「私の国で海抜が数メートルを超える場所はありません。既に海面上昇によって沿岸部は侵食されており、波によって国土が徐々に失われています」と述べた。
更に、「私は自分の国の死刑宣告に署名することはできません。世界に対する死刑宣告に署名できる人などいないはずです。 私たちは誰もが異なっていますが、誰もがどんな結果になるかは分かっているはずです。
一致団結し、議会の力を使って1.5℃という目標を達成しましょう。地球を救いましょう。私たちこそがそれをすべき世代なのです」と付け加えた。
モルディブは気温と海面の上昇による影響を緩和するために、先進国からの財政支援を求めてロビー活動をしてきた。
しかしながら、ここでもまた各国の代表者たちは、発展途上国が気候変動に取り組むことをサポートするための1000億ポンド(約15兆3186億2745万980日本円)の分配についても合意に至ることができなかった。
いずれにせよ、モルディブ政府は同国の二酸化炭素排出量を2030年までに実質0にすることにコミットしている。
次の10年が始まるまでにモルディブの二酸化炭素排出量を26%減らすためのコミットメントの中心は、再生可能エネルギープロジェクトに対する支援である。また、モルディブは2023年までに使い捨てプラスチックを段階的に廃止することにも取り組んでいる。